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【セミナー】  公開セミナー「名作の舞台裏」レポート:2010年度

名作の舞台裏 第26-29回『清左衛門残日録』『或る「小倉日記」伝』『火の魚』『6羽のかもめ』 当日の様子をレポートします。


◇公開セミナー・第26回名作の舞台裏 『清左衛門残日録』◇

日 時 : 2010年4月17日(土)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 仲代達矢(出演)、かたせ梨乃(出演)、竹山 洋(脚本)、菅野高至(制作)
司 会 : 堀川とんこう(放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 原作は藤沢周平「三屋清左衛門残日録」。1993年にNHK金曜時代劇で放送され、ギャラクシー賞、放送文化基金賞奨励賞、橋田賞、文化庁芸術作品賞(第10話)など数々の賞を受賞した名作時代劇。息子に家督を譲った武士・三屋清左衛門(仲代達矢)のもとに、表沙汰にはできない相談や事件が持ち込まれるようになる。それらを解決しようと立ち上がった清左衛門の姿が生き生きと描かれた。(1993年4月2日-7月9日/全14話 NHK)

<セミナーのようす>
 藤沢作品の中でも最も地味な作品を選んだわけを「バブル後の緊縮財政のなか、立ち回りのない時代劇ならお金がかからないと思った」と菅野。竹山は「原作が地味で非常に苦労した。10回目の途中で失踪した」と振り返る。仲代は「ちょうど60歳になった時の作品で等身大の役だった。立ち回りのない時代劇は、会話や動きに細かい芝居が必要になる、役者が非常に勉強してきて緊張感がみなぎっていた」と語る。 かたせは「はたはた、ふろふき大根など、美術さんが熱々の料理を出してくれて本当に涌井を営んでいるような気持ちになった」と懐かしむ。竹山脚本はセリフとセリフの間が飛び、行間を役者のイマジネーションで埋めていくのが特徴だが、仲代もかたせもそれが心地良かったという。熟年世代が集まった会場は、視聴者に媚びることのない堂々とした作品世界を堪能した。


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◇公開セミナー・第27回名作の舞台裏 「或る『小倉日記』伝」◇

日 時 : 2010年11月27日(土)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 筒井道隆(出演)、金子成人(脚本)、堀川とんこう(演出)
司 会 : 石橋 冠(演出家・放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 原作は松本清張の芥川賞受賞作。この不朽の名作を松坂慶子と筒井道隆主演で1993年に映像化。生まれつき身体の不自由な主人公は母とともに、散逸したままになっている森鴎外の「小倉日記」の空白を埋めるため、鴎外の足跡を追って凄絶な母子二人三脚の旅を続ける。困難に屈することなく、力の限り目標に向って生き抜いた主人公の短くも鮮烈な人生や彼を全身全霊で支えた母の愛の強さを描いた。ギャラクシー賞優秀賞、放送文化基金賞優秀賞・演技賞(筒井道隆)、日本民間放送連盟賞最優秀ほかを受賞。(1993年8月4日/TBS)

<セミナーのようす>
 「通り一遍の感動を与える作品は作りたくなかった。原作は優れた青春文学だと思っている。青年期に人間が抱く野心、向上心、それを打ち砕く屈辱感、挫折などが非常に激しく描かれているので、青春ドラマとして作ろうと思った」と堀川。筒井は「身障者の方に失礼にならないよう、耕造の演技には気を遣った」、金子は「母親と耕造と看護婦・てる子の精神的な三角関係を背景に置こうと思った。そして、原作にはない耕造のセリフ『母さんが死んだら僕も死ぬよ』ができた時に"あ、これだ"と納得した」と振り返る。
 「脚本家と役者が持っている品の良さが相まって生まれた作品」と堀川はいう。放送当時、松尾羊一氏は『筒井道隆というナイーブな素材を駆使し、そんなことは一言も口には出してはいないのだが、慎み深い文脈で身障者の人々の深層に迫っていた』と評した。松本清張の"文体"を見事に映像化した名作を堪能した3時間であった。


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◇公開セミナー・第28回名作の舞台裏 『火の魚』◇

日 時 : 2010年12月23日(木・祝)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 原田芳雄(出演)、尾野真千子(出演)、黒崎 博(演出)、行成博巳(制作)
司 会 : 渡辺紘史(放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 島に住む老作家のもとに、東京の出版社から女性編集者が通ってくる。小説の装丁を、燃えるような金魚の「魚拓」にしたいと思いついた老作家は、女性編集者に魚拓を作ることを命じる・・・。世間から取り残された孤独な老人と、時間を慈しむように生きる女性が過ごすひと夏。命が輝くユーモラスでほろ苦い物語。NHK広島放送局制作、広島発ドラマとして放送され、モンテカルロ国際テレビ祭最優秀賞、文化庁芸術祭大賞、イタリア賞最優秀賞ほか、国内外の数々の賞を受賞した。(2009年7月24日/NHK総合(中国地方)、2010年3月13日/NHK総合)

<セミナーのようす>
 「ドキュメンタリーを撮るように撮った。その場で何が起きるか分からない、次に何が起きてもいいように、カメラマンも構えていた」と黒崎。黒崎が「この瞬間でしかない感情が出た」という魚拓をとるシーンは、「"命"というものに対面して、演じなければいけないのに演じられない。ただドキュメンタリーのように撮ってもらうしかなかった」と尾野は振り返る。
 病院を訪れるシーンの、白い麻のスーツと真紅の薔薇の花束は原田の提案。老作家は短い言葉だけを語るが、原田は「あのドラマの中で僕が一番雄弁だったシーン。そして彼女の背中が浄化されていたから、最後の『煙草吸いてー!』という言葉に繋がるのだと分かった」と語る。「広島局にはドラマ部はないが、平和を扱ったドキュメンタリーと"命"というテーマは同じ」と行成。広島局でこそ作れた美しい作品だったと納得させられた。


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◇公開セミナー・第29回名作の舞台裏 『6羽のかもめ』◇

日 時 : 2011年2月26日(土)
会 場 : 情文ホール(横浜情報文化センター6階)
ゲスト : 淡島千景(出演)、倉本 聰(脚本)、嶋田親一(制作)
司 会 : 石橋 冠(演出家・放送人の会)
主 催 : 放送人の会、(財)放送番組センター

<作品の概要>
 団員大量脱退により6人に減ってしまった劇団かもめ座のメンバーが、芸能社会で悪戦苦闘しながらも生き残っていこうとする姿と、テレビ業界の内幕を描いた衝撃の作品。最終回『さらばテレビジョン』では、国民の白痴化を防ぐために政府がテレビ禁止令を出すという劇中劇がメインとなり、放送作家がカメラに向かってテレビへの愛情と失望を叫ぶ。この場面は、視聴率競争のあまり番組の質が低下し俗悪化するという、テレビメディアが抱える病根を鋭く指摘した。(1974年10月5日-1975年3月29日/全26話 フジテレビ)

<セミナーのようす>
 「放送局とのトラブルから脚本家を辞めるつもりでおり、この際何でも書いてやろうと思った」と当時39歳だった倉本。テレビ界の実情があまりに赤裸々に描かれていたため、怒鳴り込んできたテレビ局員もいたという。嶋田は「毎回がスリル満点。でもいつも時間ギリギリで直したくても直せなかった」と笑う。劇団の長という"役者が役者を演じる"立場であった淡島は「新劇団が次々生まれていた時代で、その長である自覚だけは忘れないよう演じていた」と語った。
 視聴率に翻弄されるテレビへの愛憎を描いた『さらばテレビジョン』で語られた状況について、倉本は「37年経った今も全く変わっていないどころか増幅されている」と語る。テレビが持ち続ける矛盾と細かい心理を描き出すことに徹底した名ドラマは、時を経ても変わらぬ新鮮さを保ち続けていた。

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